安定同位体比分析

安定同位体とは?

同位体(isotope)は、陽子の数が等しく、中性子数が異なる核種同士のことを指します。炭素を例に考えると、炭素は12C、13C、14Cの3種類が存在します。

更に同位体は安定同位体と放射性同位体の二種類に大別できます。放射性同位体は安定同位体と比べて不安定なため、壊変を起こします。 対して、安定同位体は我々が扱うスケールにおいて安定に存在できるとみなせるため、一定の比率で自然界に存在していると考えられます。炭素の場合は、14Cが放射性同位体、12C、13Cが安定同位体です。

安定同位体比とは同じ元素の安定同位体同士の比を取ることで、わずかな同位体の変動を分かりやすく示すための指標と言えます。 同位体比で良く用いられるのが下のδ値と呼ばれるもので、炭素を例にとると

δ13C = (13C/12C)sample (13C/12C)standard - 1

と表せます。



安定同位体比分析

私たちの研究で取り扱う同位体比の差は非常に小さいため、分析手法には高い精度が求められます。

安定同位体比質量分析法(Isotope Ratio Mass Spectrometery, IRMS)によりこのわずかな差を測定することが出来ます。一例として、炭素の安定同位体比分析を紹介します。

事前にガスクロマトグラフや液体クロマトグラフによって分離された分子は、燃焼(combustion)され二酸化炭素に酸化されます。

二酸化炭素はイオン源(Ion Source)に導入されてイオン化された後に、磁場(Magnet)によって質量ごとに経路を曲げられ、分離されます。

質量ごとに異なる検出器に運ばれ、同時に測定されます。二酸化炭素は三種類の質量に対応するコレクターによって測定されます。